死論

死んだらどうなるか? なんて聞かれると、大抵の人は『死後の世界』として天国、もしくは地獄に行くなどといった大雑把なイメージが頭に湧くだろう。

 

しかし本当の死後の世界は、そんな単純で退屈なものではない。

 

 

三途の川(あの世とこの世を分ける河)を渡り終えて『死後の世界』へ辿りつくと、すぐに肉体から魂が離脱し、まずは『終血楼閣』と呼ばれる4次元空間に転送される。

そこに魂を数日間閉じ込めたのち、楼閣の守り神による裁きが下されるのである。

 

判決には大雑把に3種類がある。1つめは天国送り、2つめは地獄送り、そして3つめが『解放』。

天国送りの判決が下される条件としては、『生前に自分の夢を果たして未練がなく、なおかつ全うな行いや生活をしてきた者』。

地獄送りの判決が下される条件としては、『生前の未練の有無に関わらず、他者の生命や尊厳を著しく侵した者』。

 

 

そして『全うな行いや生活をしてきたが、生前に未練のある者』が、『解放』の判決を下されることになる。

 

この『解放』が下されると、まず魂に生前の意思が宿った状態で『死後空間』に転送される。そこで自由の身となり、生前に叶えたかった夢、願望など、ありとあらゆることを実現することができるのだ。

『死後空間』は死者1人1人に与えられる、無限にも等しい膨大な空間であるとともに、生前の願望や夢を思い描くままに実体化させ、自分だけの理想郷を作り出すことが可能になるということである。

いわば自分の死後の世界を好きなように創り出す創造神になれるわけだ。

 

 

前述のとおり『死後空間』は、解放の判決を下された死者全員に与えられる『自分だけの死後の世界』であるため、どんな世界を創り出そうが、どれほど都合のいい世界を創ろうが他の死者に迷惑をかけることもない。

 

 

 

そして自らの創り出した『死後の世界』での暮らしに満足し、生前の未練を完全に断ち切ったと魂が感じた時、天国へ転送されて魂が安らかに眠りにつくことになるのである。